子育てをする上で、保育園選びは非常に重要な決断の一つです。保育園には「認可保育園」と「認証保育所」があり、選ぶ際にどちらが良いか迷う方も多いでしょう。漠然と認可保育園の方が安心というイメージがありますが、認証保育所も一定の基準を満たしており、ケースによってはそちらの方が自分に合う場合もあります。
それぞれの保育園には異なる特徴やメリットがあり、ケース別にどちらが良いかについて詳しく解説します。
これから保育園を探そうとしていて、保育園選びで悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
【この記事のポイント】
● 認証保育園は、東京都が独自に設けた基準を満たした保育園のことです。
他の自治体でも類似の保育園があるところも存在します。
● 両者の違いは、利用可能対象者(保護者の就労など認可の方が厳しい)
申請先(認可は市町村、認証は保育園)
保育内容(認証は独自プログラムのことも多い)です。
● 認証保育園がおすすめのケースは、産後できるだけ早く働きたい、
長時間保育を希望している、電車通勤している場合です。
● 認可保育園がおすすめのケースは、費用を抑えたい、広い保育スペース
園庭があるところを希望している、後で保活をしたくない場合です。

認可保育園と認証保育所とは
認可保育園について
認可保育園は、国が定めた厳格な基準を満たし、自治体から認可を受けた保育施設です。
施設の規模、スタッフの資格、保育内容、衛生状態など、さまざまな要件が詳細に規定されており、それをクリアすることで認可を得ます。
認可保育園は、子どもたちに安全で質の高い保育を提供することを目的としています。
認証保育所について
認証保育所は、東京都が独自に設けた基準を満たした保育園のことを指します。他の自治体でも類似の基準を設けた保育園が存在する場合がありますが、東京都では認証保育所と呼ばれています。認証保育所は、保護者の多様なニーズに対応するために設立され、多くの場合、保育時間が長く、柔軟性が高いプログラムを提供しています。認証保育所は、その柔軟な運営方針により、より多くの家庭に対応できる点が特徴です。
※東京以外の、独自に基準を設けているケース
具体的には、次の自治体:横浜市、川崎市、さいたま市、千葉市、浜松市、堺市、仙台市です。東京以外はまとめて「認定保育園」と呼ばれますが、自治体ごとに独自の呼称を使用しています。例:横浜保育室、浜松市認定保育所です。今回の記事では、東京都の「認証保育所」に限定して解説いたします。
認証保育園の特徴
● 東京都独自の基準により設置
駅前などの利便性の高い場所に設置のA型(0~5歳が対象で20人~120人規模)、小規模で家庭的な保育のB型(0~2歳が対象で6人~29人規模)があり、大都市の特性に着目した都独自の基準(認証基準)をすべて満たし設置運営されているのが東京都認証保育所です。区市町村の設置の計画に基づき区市町村の推薦を受け、定める要件を満たし、かつ、要綱で定める要件を満たした施設が東京都により認証されます。
● 保育園に直接入園申込が可能
認証保育所は、保育園に直接申し込みをして契約を交わし入園が可能です。入園基準は、先着順や園独自の選考など園によって異なります。一般的には4月入園になることが多いですが、各施設ごとに設定されています。希望している認証保育所がある場合は、募集時期を確認しておく必要があります。重要事項説明書を通して、保育の内容、サービス、施設および事業者の概要、職員の体制など確認できます。
● 誰でも利用が可能
就労義務のある認可保育園とは違い、保育の必要度に応じてすべての人が利用できます。在職中の人だけでなく、求職中の方や職場復帰を目指す方、保護者の立場を問わず誰でも利用することが可能です。
認証保育所は、認可保育園とは異なり、利用者の保育の必要度に応じて柔軟に対応できる施設です。
● プログラムが独自の内容
認証保育所は、保育内容に独自のプログラムを取り入れている園が多くあります。例えば、英語教育や音楽、スポーツに特化したプログラムや自然体験・食育プログラムなど特色ある教育を提供していたり、充実した独自のカリキュラムを行っています。利用の料金が認可保育園より高い傾向もあり、その代わりとして様々なニーズに対応できるよう独自のプログラムを取り入れています。
認可保育園の特徴
● 国が定めた基準によって設置
厚生労働省の管轄の児童福祉施設として国が定めた「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」を満たし設置運営されているのが認可保育園です。基準の内容については「職員の配置」「職員資格」などさまざまな項目が設けられています。基本的に各地域の自治体に申請を行い、審査を受けて各都道府県知事、各指定都市市長、各中核市市長等によって認可されます。
● 入園には選考審査がある
認可保育園は、市町村を通じて申し込む必要があり、選考を経て入園できるかが決まります。保育園などの利用を申請するための条件は、自治体によって詳細は異なりますが、子どもが保育園などでの保育の必要性を自治体に認定される必要があります。保育の優先順位をもとに選考されるため、申し込んでも入園できない、第一希望の園に入園できない等のケースがあります。
● 経済的負担が少ない
認可保育園は国と自治体の補助金で運営しているので、認証保育所と比べると、比較的保育料が安く経済的負担が少ないです。保育料は世帯の所得に応じて決まるため、人によって異なります。施設によっては保育料の他に延長保育費や備品費など別途費用がかかることがありますので、各保育園ごとに確認しておく必要があります。
認証保育所・認可保育園の主な違い
対象
認可保育園は、保護者の就労状況などの厳しい基準を満たす必要があります。これに対して、認証保育所は、すでに述べたようにより広い範囲の家庭の利用が可能です。A型では0歳から5歳までの乳幼児を対象、B型では0歳から2歳までの乳幼児を対象としています。
申請先
認可保育園への申し込みは市町村を通じて行いますが、認証保育園への申し込みは各保育園に直接行います。この違いにより、認証保育園の方が比較的簡単に入園することができるとされています。認可保育園は、市町村の待機児童リストに基づいて入園が決定されるため、競争が激しく、入園が難しい場合もあります。
保育内容
認可保育園は国が定める「保育所保育指針」に沿って、各施設が年齢に応じた保育内容を決めています。これに対して認証保育所は東京都の基準に基づき、適切な保育水準を確保しています。0歳児の保育が必須となっています。
保育時間
認可保育園は基本的に11時間の開所が義務付けられています。これに対して認証保育所は13時間以上の開所が義務付けられています。そのため認証保育所は長時間保育が可能となっており、多くの場合は延長保育や土曜保育など、保育時間の柔軟性が高いです。認可保育園でも延長保育を行っているところはありますが、限られた時間内での対応となることが一般的です。


認証保育所の方がメリットがあるケース
● 産後できるだけ早く働きたい場合
すべての認証保育所で0歳児保育が義務付けられているため、産休明けから働きたい方に非常に適しています。また、保育を必要とする人が誰でも利用可能なため、保育の必要度に応じて利用できます。仕事をしている方や職場復帰を目指す方、求職中の方など様々な状況に対応できます。
● 長時間保育を希望している場合
13時間以上の開所が義務付けられているため、長時間保育が必要な家庭には大きなメリットとなります。認証保育所の多くは駅前に設置されているため、通勤時の送迎が非常に便利で、長時間預けても送迎にかかる時間を短縮することができます。
● 少人数制でのきめ細やかな保育を希望する場合
B型は少人数のため、子ども一人ひとりに対するきめ細やかなケアが可能で、保育士と子ども、保護者との距離が近くアットホームな雰囲気の中で保育が行われています。これにより、子どもが安心して過ごせる環境になっています。
● 特定の教育プログラムを希望している場合
独自の保育プログラムを取り入れていることが多く、認証保育園によってさまざまな特徴があります。保護者の教育ニーズに応える多様なプログラムが提供されているため、希望する特定のプログラムを選んで申し込むことができます。自分のニーズに合った保育園を見つけやすいです。
認可保育園の方がメリットがあるケース
● 費用を抑えたい場合
認可保育園の保育料は、保護者の所得に応じて決まるため、無理な負担になることはありません。
● 広い保育スペース・園庭があるところを希望している場合
認可保育園は、施設や園庭の広さが基準で定められているため、子ども達がのびのび遊べる環境が整っています。園庭がない場合でも代替の野外遊技場が設定されています。
● 地域の他の子ども達と交流をもちたい場合
認可保育園は、地域との連携を大切にし、子どもたちが地域社会の一員として成長できるようサポートしています。園庭開放や保育室開放など在園児と地域の子ども達が一緒に遊ぶ機会を提供しています。
● 後で保活をしたくない場合
認証保育園のB型は2歳までなので、その場合は次の保育園を探さなくてはなりません。特に0歳は1歳以上に比べて入りやすいケースが多いので、後々保活をしたくない場合は0歳で認可保育園に入ると良いです。
認可・認証のどちらが合うか検討してみよう
認可保育園と認証保育園の違いを理解し、自分のライフスタイルやニーズに合った保育園を選ぶことが重要です。認可保育園の方が安心というイメージがありますが、認証保育園も柔軟で魅力的な選択肢を提供しています。どちらが自分に合うかを慎重に検討し、子どもに最適な環境を提供できる保育園を見つけてください。特に、共働き家庭やシフト勤務の家庭にとっては、認証保育園の柔軟性が大きな魅力となるでしょう。最終的には、保育園の見学や面談を通じて、実際の保育環境やスタッフの対応を確認し、納得のいく選択をすることが大切です。
また、保育園選びは早めの準備が肝心です。特に人気のある保育園は定員がすぐに埋まってしまうことがあるため、情報収集を早めに行い、必要な手続きを忘れずに進めることが求められます。
最後に、子どもにとって最良の環境を提供するためには、親自身が安心して働ける環境を整えることも重要です。適切な保育園を選ぶことで、子どもとの時間を大切にしながら、仕事と家庭の両立を図ることができるでしょう。
ソラストは、東京都内を中心に一都三県で認可保育園、認定保育所などを多数運営しています。ご自宅の近くにあるかもしれません。そのほか、認定こども園、小規模保育、病児・病後児保育、一時保育も行っています。午睡センサーやセキュリティカメラなど安全のための設備、スマホ連絡帳やおむつサブスクなど利便性、英語教育や体操プログラムなどこだわりの保育内容などがあります。空きは「保育園一覧」から確認可能です。興味があればお問い合わせください。
